最近セルフカバーをデュエットでやる、という企画の作品をちょこちょこ見かけますが、今のところこのライオネル・リッチーの “Tuskegee” が一番のお気に入りです。
1970年代後半からコモドアーズのリードヴォーカリストとして、特にバラードのヒット曲を量産し、1980年代に入ってソロに転向、以降もヒットを連発し続けた彼のデュエット作品集となります。
本作がなぜ気に入ったかというと、収録されている往年のヒット曲がカントリーフレーバーに料理され、当然ながら有名カントリーアーティストと共演しているからです。
もしかしたらライオネル・リッチーとカントリーが結び付かない人が多いかもしれないが、そんなことはありません。
アルバムタイトルである “Tuskegee”は、アラバマ州にある小さな都市で、彼のホームタウンでもあります。 位置的にはカントリーミュージックがポピュラーな土地柄と言っても良いでしょう。
アメリカの歴史に詳しい方なら、ここ出身と言えば人種差別と闘った黒人女性ローザ・パークの名前が挙げられるかも知れません。
また、彼のソロ活動の中にはカントリーっぽい曲が意外と多いんです。”Deep River Woman” (オリジナルはAlabamaとの共演)、”Stuck On You” 辺りがオリジナル・バージョンがカントリーテイストに溢れていて、いずれの曲もカントリーのヒットチャートで上位にランクされているのです。ですので、彼がカントリーアーティストと共演することは別段意外なことでもないのです。
前置きが長くなりましたが、本作。冒頭のブレーク・シェルトンとの “You Are” のイントロを聴いただけで「うわっ!いい!」となります。見事なミドルテンポのポップカントリーに仕上がっていますね。
その後にもダリウス・ラッカー、ケニー・チェズニー、ジェーソン・アルディーン、ラスカル・フラッツ、ジェニファー・ネトルズなど、今まさに旬のアーティストとの共演。また、旧知の仲であろうジミー・バフェット、ケニー・ロジャース、そしてあのウィリー・ネルソンまでが登場する超豪華な内容です。
いずれの曲も、見事に共演アーティストの味に料理されているのにライオネル・リッチーらしさはしっかり残っているところが素晴らしいですね。特にラスカル・フラッツとの “Dancing On The Ceiling” やケニー・チェズニーとの “My Love” はお勧めです。
そして、やっぱりケニー・ロジャースとの “Lady” でしょうか。もともとケニー・ロジャースがベストアルバムに収録する新曲をライオネル・リッチーにオファーして、1980年に全米ポップチャートで1位になった大ヒット曲。誰にも真似できない、まさに大人のデュエット。聴き手の背筋が思わずゾクッとする出来になっています。さすが…。
この “Tuskegee”、ビルボードのアルバムチャートだけでなく、カントリーアルバムチャートでも堂々の1位を記録しました。まさしくナンバーワンアルバムにふさわしい作品でしょう。
Tracks:
01: You Are (featuring Blake Shelton)
02: Say You, Say Me (featuring Rasmus Seebach)
03: Stuck On You (featuring Darius Rucker)
04: Deep River Woman (featuring Little Big Town)
05: My Love (featuring Kenny Chesney)
06: Dancing On The Ceiling (featuring Rascal Flatts)
07: Hello (featuring Jennifer Nettles)
08: Sail On (featuring Jill Johnson)
09: Endless Love (featuring Shania Twain)
10: Just For You (featuring Billy Currington)
11: Lady (featuring Kenny Rogers)
12: Easy (featuring Willie Nelson)
13: All Night Long (featuring Jimmy Buffett & Coral Reef Band)
14: Angel (featuring Pixie Lott)
注)上記トラックリストは欧州盤のものです。米国盤は収録曲と曲順が若干異なります。
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