Bobby Caldwell / What You Won’t Do For Love

今回このレビューを書くまで、私はこのアルバムタイトルの本当の原題を知りませんでした。この辺の音楽が好きな方々も多分そうではなかったんじゃないかと思います。確かに調べてみると、原盤のアルバムジャケットには原題がしっかりと書かれているのですが、日本盤には名前しか書かれていないもので、今までこのアルバムはいわゆるセルフ・タイトル・アルバムだと思っていたのです。

ということで、このアルバムは1970年代後半の洋楽ファンの方にはお馴染みのボビー・コールドウェルによる、しかも彼のアルバムでは一番有名な邦題「イヴニング・スキャンダル」という作品となります。

それまでのAOR、アダルト・コンテンポラリーと呼ばれるジャンルを引っ張っていた西海岸っぽいポップ・ロックとは異なり、フロリダ方面の、少し蒸し暑い雰囲気を感じる作品です。全米トップ10に入る大ヒットとなった “What You Won’t Do For Love” がまさにそんな雰囲気ですね。こんなことを書くのは多少赤面物ですが、「マイアミの燃えるような夕焼けに染まる二人」って感じでしょうか。こんな雰囲気がこのアルバムには似合いますね。 なぜか気分は田中康夫(歳がバレる)。

そんな中で異色の1曲があって、それはこのアルバムの中で必殺バラードと言える “Come To Me” です。これは他の8曲と違い、完全に都会の摩天楼が頭に浮かんでくる雰囲気です。この曲が使われたパーラメントのCMが脳裏に残っているからなのかわからないですが、まさに大都会、「摩天楼の中で暮れていく夕日が映しだす二人」という雰囲気なのです。

彼の、白人とは思えぬソウルフルなヴォーカル(よくスティーヴィー・ワンダー的と言われている)が全体的なアルバムの雰囲気を見事に作り上げていて、このアルバムはボビー・コールドウェルというアーティストの、ヴォーカリストとしての才能をしっかりと表現していると思います。またそれだけでなく、やはりほとんどの曲における彼のソングライティングの才能、またほとんどの楽器を彼自身が担当していると言うマルチプレイヤーぶりも評価すべきでしょう。

Tracks:
01: Special To Me
02: My Flame
03: Love Won’t Wait
04: Can’t Say Goodbye
05: Come To Me
06: What You Won’t Do For Love
07: Kalimba Song
08: Take Me Back To Then
09: Down For The Third Time


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