Boz Scaggs / Silk Degrees

ボズ・スキャグスの1976年発表の名作です。
AORはここから一気に盛り上がったと言っても過言ではありません。モシャ・ブランカによる印象的なアルバムジャケット、R&Bっぽさを残した都会的な音、バラードでのR&B的な粘っこいヴォーカル…。 ボズにとっての代表作と言える作品です。

バックを固める中心となっているのは、後にTOTOとしてグループ結成をすることになるデヴィッド・ペイチ、ジェフ・ポーカロ、デヴィッド・ハンゲイトです。ジェフ・ポーカロの代名詞と言える、唯一無二のシャッフルビートを中心にした、いわゆる「TOTOサウンド」が、ボズの粘りのあるヴォーカルを引き立てています。
(余談ですが、本作が録音されたとき、彼らはまだ22~3歳くらいの「若造」。こんなに洗練された、大人っぽいサウンドを若い兄ちゃんたちが良く演奏できたものだと後日感心しました。)

アルバムの構成としては、LPで言うA面B面の両面の前半がキャッチーな楽曲、両面の最後を甘いバラードで締める、というものとなっています。A面の最後は、ソウル~ジャズっぽいバックトラック、そしてチャック・フィンドリーによる秀逸なフリューゲルホーンとジェフ・ポーカロのシャッフルビートのエンディングが素晴らしい “Harbor Lights”。これは世の中に発表されたあらゆるバラード曲の中でもベストと言っても良い最高の作品と思っています。生きている間に一度でいいからこういう歌を歌い上げてみたいと何度も思っています。うっとりするなあ。
B面の最後は、一般的にはボズ最高のバラードと言われている “We’re All Alone”。リタ・クーリッジを始め、数多くのアーティストにカバーされた超有名曲。あんまり洋楽聴かない人でもこの曲を知ってる人は多いはずですが、意外にもこの曲は本国アメリカではシングルカットされておりません。

本作はボズ・スキャッグスに取って出世作であり、ブルースシンガーから大人向けソフトロックシンガーへの転換を強く印象づけた作品と言って良いでしょう。

Tracks:
01: What Can I Say
02: Georgia
03: Jump Street
04: What Do You Want The Girl To Do
05: Harbor Lights
06: Lowdown
07: It’s Over
08: Love Me Tomorrow
09: Lido Shuffle
10: We’re All Alone


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