1970年に若干19歳でマンハッタンズのリードヴォーカリストに抜擢され、以来20年近く数多くのヒット曲を世に送り出した、そんなジェラルド・アルストンが1988年に発表した初のソロアルバムです。
冒頭のバラード、”Take Me Where You Want To” でいきなりうっとりモードに入ります。スタン・シェパードとジミー・ヴァーナーのアレンジは非常に美しく、彼のエモーショナルかつ熱気に溢れる表現力と共にすばらしい出来となっています。
この曲以外にもバラードは秀逸なものばかりで、特にイーグルスのヒット曲でも有名な “I Can’t Tell You Why”、カーペンターズの大ヒット、”We’ve Only Just Begun” のカバー2曲がいずれもすばらしいです。”I Can’t Tell You Why” について言えば、オリジナルが比較的サラッとしたヴォーカルであったのに対して、ジェラルド・アルストンのヴァージョンはいかにもソウルバラードという感じの粘っこさがあって、オリジナルと聴き比べると面白いかも知れません。その他、”You Laid Your Love On Me”、”Activated”のようなダンスナンバーについても、さすがと言えるヴォーカルを聴かせてくれて、バラード曲に勝るとも劣らない出来となっております。
この時、ジェラルド・アルストンは37歳。年齢から見ると、ソウルシンガーとしてはまだまだ中堅ではありますが、これだけ充実したヴォーカル作品の数々を聴かせてくれるのは、やはりマンハッタンズというトップレベルのヴォーカルグループのリードヴォーカルを19歳から取ってきた経験、というものが大きいのでしょう。この年齢にしてこの貫禄。
本作品は、ビルボード誌のR&Bアルバムチャートで最高位18位という結果になっていますが、1980年代後半のソウルミュージックシーンの中では最高のヴォーカルアルバムの一つと言っても良いアルバムだと思います。
Tracks:
01: Take Me Where You Want To
02: Stay A Little While
03: I Come Alive When I’m With You
04: Let’s Try Love Again
05: Midnight Angel
06: You Laid Your Love On Me
07: I Can’t Tell You Why
08: I’ve Waited All Night
09: Activated
10: We’ve Only Just Begun
11: Still In Love With You
12: You Laid Your Love On Me (Extended Version)
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