ジャズ・フュージョン界の人気者であるボブ・ジェームスとデヴィッド・サンボーンによる共作。1986年の作品。

バックを固めるミュージシャンはスティーヴ・ガッド(drums)、マーカス・ミラー (bass)、ポール・ジャクソン・ジュニア (guitar)、パウリーニョ・ダ・コスタ (percussion)、エリック・ゲイル (guitar) など、当時のジャズシーン、フュージョンシーンを引っ張っていたアーティストがほぼ総出演という豪華さ。アルバムのプロデュースもトミー・リピューマという、これ以上ない鉄板のメンバーです。

スリリングさを求める方にはやや物足りなさを感じるとは思うのですが、全般的にどっしりした作りで、落ち着いて聞ける作品です。メンバーがそれぞれの持ち味をしっかり出していて、バランスもきっちり取れているのが素晴らしいと思いますね。特にこの手の音楽フォーマットでは結構ヒットした冒頭の ”Maputo”や、アル・ジャロウが参加した ”Since I Fell For You” は素晴らしい出来になっています。

楽器の特性上、どうしてもデヴィッド・サンボーンのアルトサックスが目立ってしまう音作りですが、ボブ・ジェームスもそれなりに主張していて、例えば ”Moon Tune” では彼らしいソロも所々聴かせてくれます。ただどうしてもバッキングに回ってる感はなくもない。これは仕方ないかなという気もします。

私が気に入っている曲は、前述の”Maputo”と最後を締めてくれるロマンティックなスタンダード曲 ”You Don’t Know Me” でしょうか。”You Don’t Know Me” は、エディ・アーノルドが初めてレコーディングし、レイ・チャールスやミッキー・ギリーを始め多くのアーティストにカバーされているバラード曲ですが、元歌の持つ雰囲気をデヴィッド・サンボーンが見事に演奏していて、ベストカバーの一つだと思ってます。

静かな環境で、目を瞑ってゆったりと聴くととってもいい感じです。

Tracks:
01: Maputo
02: More Than Friends
03: Moon Tune
04: Since I Fell For You
05: It’s You
06: Never Enough
07: You Don’t Know Me