2017年の「Colors」から2年振りの作品です。
まずはアルバムジャケットに驚きですわ。
薄暗い空に映える、かなり懐かし感のある真っ赤なセリカの前で顔を掌で隠すようなポーズで立つ男性。そして上の方には巨大なカタカナの太ゴシック(正確なフォント名は分かりません…)でデカデカと「ハイパースペース」。最初日本の知らないロックバンドか何かの作品かと思い、しばらく素通りしていたのです。
そのうち音楽系のインターネットメディアで、これがベックの新作であることがわかったのですが、それにしても斬新過ぎます。やられました…。
ベックって、いろんな方面の話を聞いてみると「天才」っていうキーワードが結構出てきます。特にプリンス亡き後の天才という声があるんですけど、本作を聴いてみると、正しいかどうかは別としてプリンスのポップな面とベックとの繋がり、みたいなものが分からなくもないなと思い始めております。
浮遊感のあるエレクトリックなサウンドで、とにかく音が綺麗にできています。特に本作においてはそんな打ち込み系サウンドの中に潜んだり表に出たりしているアコースティックギターの音が素晴らしいと思います。聴き惚れます。
曲調は「Saw Lightning」のように、昔のベックっぽいトンガリ系のものもありますが、メロディー重視のメディアムテンポなものが中心となっていて、これがまた美しいのです。それがアルバム全体を覆う浮遊感に繋がっているのかなという感じですかね。
普段の作品は結構数人の仲間でやることやっちゃう、現代の「すぐフィーチャーさせちゃう」ご時世に背を向いているベックも、本作では珍しく多くのミュージシャンが参加しております。ファレル・ウィリアムスが7曲ほどの曲をベックと共作するとともにプロデュースをしており、テレル・ハインズやコールドプレイのクリス・マーティンなんかも参加しております
私のお気に入りはスカイ・フェレイラ参加の「Die Waiting」、クリス・トーマス参加の「Hyperspace」、アルバムのラストを飾る「Everlasting Nothing」辺りです。
この作品、私としてはあまり得意な方ではない打ち込み系のポップという区分けにはなるのですが、全体的なメロディーの美しさ、音作りの素晴らしさもあって、かなりヘビーローテーションで聴いている、そんな作品です。区分けなんかあんまり関係ないですよね。
Tracks:
01: Hyperlife
02: Uneventful Days
03: Saw Lightning
04: Die Waiting
05: Chemical
06: See Through
07: Hyperspace
08: Stratosphere
09: Dark Places
10: Star
11: Everlasting Nothing
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