1973年にリリースされたアイズレー・ブラザースのライブアルバムです。
私がちゃんとアイズレー・ブラザースを聴き始めたのは1980年代に入ってからなので、この頃をリアルタイムで経験していた訳ではないのですが、当時はかなりロック傾向の強いファンクをやっておりました。
さて本作の特徴としては、ロックやポップ系のカバー曲が多く収録されていることだと思います。キャロル・キングの ”It’s Too Late”は13分を超える長尺で、原曲とはかなり趣の異なるスローでずっしりとしたグルーヴが聴けますし、スティーヴン・スティルスの “Love The One You’re With”、ボブ・ディランの “Lay Lady Lay”も原曲よりスローなアレンジで聴かせてくれます。
そして何より素晴らしいのはアルバムの最後を飾る“Ohio/Machine Gun”。前者がニール・ヤング、後者がジミ・ヘンドリックス作品のメドレーで、これまた13分以上と長尺な作品です。
”Ohio”は有名な曲なのでご存知の方も多いと思いますが、オハイオ州のケント州立大学における米軍のカンボジア爆撃に反対する学生4名を州兵が射殺した事件を歌ったものです。ずいぶんメッセージ色の強い曲ですが、7分過ぎあたりから”Machine Gun”に突入。ここでのアーニー・アイズレーによる壮絶なギターソロは聴きどころ。60年代半ばに当時あまり知られていなかったジミヘンを従えてツアーをしていたアイズレー・ブラザース。そのジミヘンに影響を受けたと言われるアーニーのギターは文字通り「壮絶」そのものです。
一般的にはソウルあるいはファンクを演るグループという印象の彼らですが、本作はもうロックアルバムとして聴いてもいいのではないか、という作品です。もっとも、この時期のファンクはその源流にロックミュージックも含まれているとされていますので、アイズレー・ブラザースがこう言う作品を残していても全くおかしくはないわけです。今風のオシャレなソウル・R&B好きの方よりは、ロック好きの方にとって違和感なく聴ける作品なのかもしれません。
Tracks:
01: Work To Do
02: It’s Too Late
03: It’s Your Thing
04: Pop That Thang
05: Love The One You’re With
06: Lay Lady Lay
07: Lay-Away
08: Ohio / Machine Gun
コメントを残す