1988年に発表された、アース・ウインド&ファイアのベストアルバムです。
以前ベスト Volume 1のレビューを書いたとき、「1980年代に入り、彼らは不遇な時代を迎えた」と書いたのですが、ヒット曲がなかったわけでもないんですね。で、Volume 2はその頃のヒット曲を集めた作品になります。
なぜかVolume 1にも収録されていた “Fantasy” がこちらにも収録されていて、単なるVolume 2ではないのかな?と思ったりもしたのですが、ダブっているのはこの曲だけでした。
彼らのターニングポイントは、ポップバラードとしては最高の作品、 “After The Love Has Gone” だと思っています。この美しい曲は大ヒットはしたのですが、今までと違い、デヴィッド・フォスターによる作品で、彼が在籍していたユニット「エアプレイ」でリリースしたアルバムにも収録されている曲でした。ここでのEW&Fは、それまでのソウルフルな演奏をバッサリ捨ててしまい、白人ポップバラードを見事に忠実に表現しました。曲はとにかくいいですし、AOR的な曲も大好きなのでいいのですが、EW&Fの音楽にストリングスとアルトサックスソロ?というところに違和感を感じざるを得ない曲だったのです。
それで、それが理由かどうかは定かではありませんが、このあとから従来のイケイケな勢いを失っていきました。
世の中に電子音楽の台頭してきたことにより、その流れについて行こうとして発表したと思われる “Raise!” というアルバム (1982年リリース) から「あれ?これがあのアース?」という雰囲気になってしまいました。確かにこのアルバムからは “Let’s Groove” という大ヒット曲が生まれはしましたが、今までの粘りのあるソウルさがなくなってきてしまいました。EW&Fといえば強烈なホーンセクションが持ち味でしたが、かなり後ろの方から聴こえてしまいヴォコーダーやシンセが前面に押し出されるようになっていました。これは意図的なミキシングなのか?と思ってしまうほどです。(でも、ポップソングとしては好きなんです、この曲)
ということで、本ベストアルバムでは単にヒット曲を楽しむものになってしまっていて、本来のEW&Fの魅力を感じられる作品とは言えないという印象を持ちました。時の流れでしょうか。
ただ、収録されている曲は当時あちこちで耳にしていましたし、楽しめる作品集ではあると思います。
Tracks:
01: Turn On (The Beat Box)
02: Let’s Groove
03: After The Love Has Gone
04: Fantasy
05: Devotion
06: Serpentine Fire
07: Love’s Holiday
08: Boogie Wonderland
09: Saturday Nite
10: Mighty Mighty
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