1981年発表の、BangからAristaへの移籍第1弾アルバムです。
冒頭を飾るタイトルトラックはシングルカットされて大ヒットとなりました。センチメンタルな歌詞と優しさに溢れるメロディーが印象的な名曲で、文句無しのベストトラックです。
この “Cool Night” に代表されるメディアムテンポのポップな曲がアルバムの中心となっており、しかも殆どが心地よいポップチューンになっています。特に彼らしい甘いヴォーカルが聴ける “Oriental Eyes”。これは休暇中に出会った東洋の女性に、戻ってからも思いを寄せると言う内容で、実にロマンティック。
一方アップテンポな曲で、全米トップ10ヒットにもなった “’65 Love Affair” も良い曲です。昔のロマンスを明るく歌い上げています。1965年、つまりポール・デイヴィスがティーンエージャーだったころという背景のためか、自分自身が聴いても高校生だった頃の甘酸っぱい思い出が蘇ってきます。懐かしくて、この時期に少しだけ戻ってみたいなという気にさせてくれる、ノスタルジックな曲です。
このアルバムからはもう1曲、”Love Or Let Me Be Lonely” がシングルカットされましたが、これは1970年のフレンド・オブ・デスティンクションによる大ヒット曲(全米6位)です。この曲は他のシングルカット曲があまりに良過ぎるため、ちょっと地味だったかな、という気がしています。
全般的に、発売当時大流行していたアダルト・コンテンポラリーの波に見事に乗った作品となっていて、またArista社長のクライヴ・デイヴィスが好むタイプの作品だったのかなと思います。Bang時代に時折見せていた、少し泥臭いカントリーっぽい曲調がすっかりなくなっており、レコード会社の意向が反映されるとこうなるのか、という見方もできます。とはいえ、この作品はAORの名作の一つであることは間違いないと思います。
Tracks:
01: Cool Night
02: You Came To Me
03: One More Time For The Lonely
04: Nathan Jones
05: Oriental Eyes
06: ’65 Love Affair
07: Somebody’s Gettin’ To You
08: Love Or Let Me Be Lonely
09: What You Got To Say About Love
10: We’re Still Together
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