1982年にリリースされた、ドナルド・フェイゲンの初ソロアルバムです。
今でもふと耳にすることができる、という意味では驚異のロングランアルバムと言っていいかも知れません。
スティーリー・ダンのアルバムと同様、豪華メンバーが参加しています。マーカス・ミラー、ジェフ・ポーカロ、ラリー・カールトンなどなど。収録されている曲も、”Aja” や “Gaucho” あたりの、聞いた感じはとても洗練されておしゃれなサウンドでありながら歌詞が辛辣という、まさにドナルド・フェイゲンらしい世界観です。アルバムのライナーには、「このアルバムに収められている曲は、50年代後半~60年代前半に北東部の郊外で育った普通の若者が想定されている」と言うコメントがあります。そんな意味でもノスタルジーを感じさせる作りになっています。
「アップタウンでは道で殺人事件が起こった」 というフレーズで始まる”Green Flower Street”、タイトルは「新しい開拓者」、でも彼は核シェルターの中に住んでいるという設定の”New Frontier”など、流れるようなメロディーからは想像もつかないシビアな歌詞が続きます。一方で、実に美しい作品もあり、特に “Maxine” でのグレッグ・フィリンゲインズのピアノ、マイケル・ブレッカーのテナーサックスのソロにはついうっとりしてしまいます。
全般的に特筆すべきは、そのサウンドクオリティの高さです。1982年の作品、つまり今この記事を書いている2008年から見ると26年も前の作品なのですが、とても音の定位がしっかりしていて、しかも「きれい」。四半世紀後の今のサウンドとの違いがなかなか見つけられず、当時の最新の技術を駆使して作られた作品だと思います。今後更に技術が進んでいき、リマスターなどを行ったらもっと美しいサウンドが聞けるようになるのでしょうか?期待したいなと思います。
ちなみに私はイヤホンを選ぶ際、本アルバムの数曲をリファレンスとして使用しておりますよ。皆さまも使ってみてはいかがでしょうか?
Tracks:
01: I.G.Y.
02: Green Flower Street
03: Ruby Baby
04: Maxine
05: New Frontier
06: The Nightfly
07: The Goodbye Look
08: Walk Between The Raindrops
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