1977年の通算3枚目のアルバム。
山下達郎のこの頃の作品は、シュガーベイブ時代も含めて明らかに当時のハヤリ音楽とは一線を画していました。60年代のポップスをベースに、黒人音楽の色も濃く、確かに当時誰もやっていなかったことをしていたのです。
そういう意味では時代に流されない音楽性を持ち、素晴らしい作品は出していたものの、商業的には成功していなかった彼は、本作をある意味開き直りのような状況で制作した、との話を聞いたことがあります。

本作も、多くの曲がソウル的なアプローチですが、特に「Bomber」でのかなりハードなチョッパーベースの聞けるファンキーさは気持ちよいですね。
また一般的には本作で一番有名な曲と思われる「Let’s Dance Baby」。
山下達郎のライブではこの曲の「心臓に 指鉄砲」という歌詞のところでの観客によるクラッカー鳴らしが一時期有名になりました。

そんな一方、「Monday Blue」「潮騒」「2000トンの雨」のようなしっとりした曲の出来もすばらしく、彼の持つ広い音楽性が楽しめます。特に「潮騒」は、21世紀に是非とも引き継いで行きたい名曲です。

「This Could Be The Night」は、ニルソンのカバー。彼のアルバムには時折こういった彼の好きな外国曲のカバーが登場するのですが、これも彼らしい選曲。全体に使用されているハンドベルは、クリスマスシーズンっぽさも感じます。

主な参加ミュージシャンは、上原裕、吉田美奈子といったお馴染みのメンバーに加え、坂本龍一、難波弘之、村上秀一など、そうそうたるもので、彼らの演奏も聴きどころです。特に、吉田美奈子のコーラスの素晴らしさは何とも表現できないほど素晴らしい。これが30年以上前の作品か、と思うと驚きを覚え、改めて音楽の永遠さに感激します。山下達郎のある種「気合い」的なものを感じるという意味では貴重な作品と言えると思っています。

Tracks:
01: OVERTURE
02: LOVE CELEBRATION
03: Let’s Dance Baby
04: MONDAY BLUE
05: ついておいで – Follow Me Along –
06: BOMBER
07: 潮騒 (The Whispering Sea)
08: PAPER DOLL
09: THIS COULD BE THE NIGHT
10: 2000トンの雨 (2000t of Rain)