ボズ・スキャグスの2008年作品。前作 “But Beautiful” (2003年) 以来、ライブ、ベストアルバムを挟んで久しぶりのスタジオ作品です。前作同様、ジャズヴォーカルアルバムとなっております。
冒頭の “Invitation” を初めて聴いたときは、不気味ささえ感じさせるパーカッシブな曲で、正直不安を感じました。しかし”She Was Too Good To Me” 以降の曲は、あの昔ながらの艶のあるヴォーカルが、シンプルな構成のバックトラックの中でどっしりとした存在感を示してきます。
歌声が渋い。渋過ぎる。
ヴォーカルに酔いしれる、というのはこういうことなのか… と、久し振りにそう言う気持ちになってしまいます。それほど、本作でのボズのヴォーカルには魅力があります。
確かに四半世紀前、AOR界のスーパースターとして大活躍していた頃のボズのヴォーカルも大好き。しかし、60歳を過ぎた今もなお、彼のように男の色気をこれほど感じさせるヴォーカリストはなかなかおりません。しかも、以前にも増して更に磨きがかかっていると思います。
デューク・エリントンの “Do Nothing Till You Hear From Me” や、90年代にバーブラ・ストライザンドもカバーした “Speak Low” を始めとして、収録曲はジャズの世界ではスタンダードな曲ばかり。個人的には、チェット・ベーカーの演奏でも知られる “He Was Too Good To Me” や、ホーギー・カーマイケル作品の中ではかなり有名な曲の一つである “Skylark” 辺りが好み。
昔ながらのメローなボズが大好きな方には、若干ジャズ度が少なめでピアノとストリングス中心のアレンジにまとめられているバラード曲、”Ballad Of The Sad Young Men” でのトロトロのヴォーカルがお勧め。ヴォーカリストとしての魅力に溢れた秀作です。
Tracks:
01: Invitation
02: She Was Too Good To Me
03: I Wish I Knew
04: Speak Low
05: Do Nothing Till You Hear From Me
06: I’ll Remember April
07: Save Your Love For Me
08: Ballad Of The Sad Young Men
09: Skylark
10: Senza Fine
11: Dindi
12: This Time The Dream’s On Me
コメントを残す