角松敏生 / 角松敏生1981-1987

1993年リリース。角松敏生がデビューした1981年以降、1987年までに発表した作品からピックアップされたベストトラックが収録された作品集。2枚組、20曲と言うボリュームです。

角松敏生は、卓越した歌唱力、ソングライティング、アレンジ、パフォーマンス、そしてリゾート感溢れるおしゃれな曲を世に発表し、当時の「オシャレで進んでる」若者を中心に絶大なる人気を得ていました。お茶の間に人気の、というアーティストではなかったものの、 “TAKE YOU TO THE SKY HIGH” がCM曲として使われたりすることでの認知度はありました。

山下達郎と比較されることもあり、音楽に対するストイックなまでの姿勢は似ているかもしれません。時代を先取りし過ぎて過小評価されたアーティスト、という点では角松敏生のほうがそう言えるでしょう。デビュー曲である”YOKOHAMA TWILIGHT TIME”を聴いても、1981年の作品とは思えぬほど色褪せてなく、今でもオシャレ度は高いと思います。

さて本作。初期に多かった「夏全開!」と言う感じのドライブ感溢れた爽やかサウンドから、黒人音楽の影響を受け始めてニューヨーク録音を行い始めた80年代後半にかけての曲が収録されて、その移り変わりが興味深いです。
私の大好きな必殺!バラードの”RAMP IN”や、ブラックコンテンポラリーミュージックの要素をふんだんに盛り込んだミッドテンポのチューン “I’LL NEVER LET YOU GO”と言った、とても日本の80年代の曲とは思えない洗練されたサウンドがぎっしりで大満足。私が高校時代 (1984年頃)、曲中のラップのカッコ良さにしびれまくった”TOKYO TOWER” が収録されていないのが非常に残念だですが、これは都会的な雰囲気が詰まったオリジナルアルバム “GOLD DIGGER”を入手して聴きましょう。

20曲収録された2枚組作品、100分の長丁場ですが、長さは気になりません。彼の実力を改めて認識するとともに、いかに彼が過小評価を受けていたか、ということがよく分かります。今回の再録は、彼のセルフバックヴォーカルがちょっと分厚過ぎるかな、という気がしないでもないですが、かなり大胆な再録やリミックスも行われていて、それはそれで十分に「あり」です。
だって、カッコいいんですから。

今まで角松敏生の音楽にあまり触れたことがない人も、騙されたと思って是非聴いて欲しいです。

ちなみに、同様のコンセプトで1988年から1993年までの作品を収めた2枚組のアルバムも発売されている。これもなかなか良いんです。
こちらはまた別の機会にご紹介したいと思います。

Tracks:
[Disc 1]
01: YOKOHAMA TWILIGHT TIME
02: SUMMER MOMENTS
03: I’LL CALL YOU
04: I’LL NEVER LET YOU GO
05: TAKE YOU TO THE SKY HIGH
06: LONELY GOOFEY
07: TAKE ME FAR AWAY
08: AIRPORT LADY
09: YOU’RE NOT MY GIRL
10: I NEED YOU

[Disc 2]
01: GIRL IN THE BOX
02: GET DOWN
03: MERMAID PRINCESS
04: NO END SUMMER
05: ドアの向こう
06: WE CAN DANCE
07: THIS IS MY TRUTH
08: SHE’S MY LADY
09: RAMP IN
10: STILL I’M IN LOVE WITH YOU


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