Kenny Loggins / High Adventure

ケニー・ロギンスが1982年にリリースした4作目のアルバムです。
本作、ケニー・ロギンスの名前が「フットルース」や「トップガン」と言った人気映画の主題曲を歌って知名度が上がる直前にリリースされた作品です。彼は、幸か不幸か1980年代半ばにこれらの主題曲が大ヒットしてしまい「サントラシンガー」的なレッテルを貼られる結果になってしまったのが非常に残念な気がします。本来は、1970年代後半以降のポップ・AOR系を支えたソングライターであり、クリアなハイトーンヴォイスを聞かせてくれるシンガーなんです。

このアルバムの最初を飾るのが、こと”Don’t Fight It” (邦題「サンライズ・パーティー」)。この曲でギターを弾きまくっているのは、パット・ベネターの音楽面でのパートナーでもあり夫でもあるニール・ジラルド。当時大人気だったジャーニーのリードヴォーカル、スティーヴ・ペリーとのデュエット曲であることが話題となり、大ヒットしました。これはケニー・ロギンスの多くの曲の中ではかなりハードな曲の部類に入るけど、かっこいい。

“I Gotta Try” はマイケル・マクドナルドとの共作。マイケル・マクドナルドの方がオリジナルだったと思うが、いかにもケニーとマイケルコンビと言った感じ、すなわちドゥービー・ブラザーズの大ヒット曲 “What A Fool Believes” 的感覚いっぱいの作品です。

このアルバムで私が一番好きな曲は、文句なしに “Heart To Heart” 。この作品がリリースされた当時高校生だった私は、学校の最寄りの駅から校門に入るまでの間、毎日この曲を口ずさみながら歩いていましたね。それくらい好きな曲でした。こういうドライブ感もあるAOR的な曲はかなり好きなので、今でも思わず口ずさんでしまうことがあります。
AOR好きなら絶対分かる、デヴィッド・フォスターとマイケル・マクドナルドのキーボード、ページスの2人のバックコーラス、デヴィッド・サンボーンのサックスソロ。そしてフォルセットも駆使したきれいなケニーのヴォーカル。もう完璧なんです。

しっとり系のバラードは2曲。当時のLP盤では両面の最後を飾る “The More We Try” と “Only A Miracle”。当時は少し背伸びしてバラードも好んで聴いていた私は、この2曲に涙したものです。”Only A Miracle” は、当時誕生した自身の息子さんに捧げた曲として紹介されていた、マイケル・マクドナルドとの共作です。

1982年頃、AORとかソフト・ロックと言われる曲が多くヒットしていた時期。少しずつ英国系の新進アーティストに浸食されてしまう(ブリティッシュ・インベージョン)少し前の時期に発売された本作品。AORアルバムとして考えたらベストアルバムの一つに選んでも良い作品だと思います。

Tracks:
01: Don’t Fight It (feat. Steve Perry)
02: Welcome To Heartlight
03: I Gotta Try
04: Swear Your Love
05: The More We Try
06: Heart To Heart
07: If It’s Not What You’re Looking For
08: It Must Be Imagination
09: Only A Miracle


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