ロバート・グラスパーの2022年リリース作品です。
このサイトで紹介するアルバムにはすべてジャンルをタグ付けているのですが、この作品にどのタグをつけたら良いのか本当に迷っています。ソウル?ヒップホップ?ジャズ?
彼の関わってきた音楽はジャズだけでなくゴスペル、R&B、ヒップホップと言ったところになりますので、そもそも特定ジャンルで語ることができないので、無理にジャンル分けする必要もないのですが、とりあえず「ジャズ」ということにしておこうと思います。
さて、そんなジャンルレスなこの作品。2012年のBlack Radio、2013年のBlack Radio II に続くBlack Radioシリーズ第3弾ということになります。
私はこの3作とも一通り聴いているのですが、私自身にしっくりくるというか、聴いていて飽きない作品はこちらの第3弾になります。
過去2作と比べると、アルバムのコンセプトという意味ではヒップホップ感が少し強まった気がする本作。今まではサンプリング(ループ)を使わず独自の音楽を表現していた彼ですが、本作ではサンプリングも使われているような気がします。ただ、サンプリングメインで進んでいく曲作りというよりは、生演奏の音楽にサンプリングを紛れ込ませている、そんな雰囲気を感じるのです。やっぱりベースは生の音な所がポイント高いです。
BJ the Chicago KidやKiller Mike、Big K.R.I.T.と言った、ヒップホップ界で活躍している面々を起用したBlack Superhero、そしてD SmokeのラップにTiffany Goucheのヴォーカル、そしてトラックだけ聴くとジャズにしか聞こえないロバート・グラスパーのピアノが心地よく合わさっているShine。この前半の流れが特に好きです。
全般的には何と言ってもヴォーカル曲がいいですね。Better Than I Imagined でのミシェル・ンデゲオチェロ 、It Don’t Matterでのグレゴリー・ポーターとレデシーのデュエット、Tears for Fearsの大ヒット曲のカバーであるEverybody Wants to Rule the Worldでのレイラ・ハザウェイ、そしてOut of My Handsでのジェニファー・ハドソンと言ったそうそうたるメンバーの参加によるヴォーカルが実に充実しています。ロバート・グラスパーが落ち着いた雰囲気のトラックを生み出し、ヴォーカリストが美しいヴォーカルを聞かせつつラップを被せていく。こういった雰囲気は実に独特ではあるんですが、このジャンルとジャンルが混ざってジャンルレスになって行く「合わさり感」が心地よいんです。
最初はもしかしたら好みじゃないかも、と思って聴き始めた彼の作品ですが、いやいやそんなことは全くございません。むしろかなり好みです。私の好きな「お子ちゃまには聴かせるのがもったいない」タイプの、大人に聴いて欲しい名作です。ホント最高です。
私は単なる音楽愛好家なので、あまり専門的なことは書けませんが、ロバート・グラスパーの音楽性であったり、そういったところについては、音楽評論をされている方たちがいろんな所に寄稿していると思うので、興味がありましたらそちらも参考にしてほしいと思います。
Tracks:
01: In Tune (feat. Amir Sulaiman)
02: Black Superhero (feat. Killer Mike, BJ the Chicago Kid & Big K.R.I.T.)
03: Shine (feat. D Smoke & Tiffany Gouche)
04: Why We Speak (feat. Q-Tip & Esperanza Spalding)
05: Over (feat. Yebba)
06: Better Than I Imagined (feat. Her & Meshell Ndegeocello)
07: Everybody Wants To Rule The World (feat. Lalah Hathaway & Common)
08: Everyday Love (feat. Musiq Soulchild & Posdnuos)
09: It Don’t Matter (feat. Gregory Porter & Ledisi)
10: Heaven’s Here (feat. Ant Clemons)
11: Out Of My Hands (feaet. Jennifer Hudson)
12: Forever (feat. JP Morton & India.Arie)
13: Bright Lights
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