Al Jarreau / Breakin’ Away

AORを語る上で絶対に欠かせないプロデューサーであるジェイ・グレイドンのプロデュースによる作品です。前作 “This Time”よりも更にジェイ・グレイドンの色が強まってきている感じがします。

ほとんどの曲でジェイ・グレイドン、アル・ジャロウとキーボーディストであるトム・キャニングがソングライティングに関わっていますが、そのすべてが心地よく素晴らしい出来に仕上がっています。
冒頭の2曲などは、まさにこれでもかというジェイ・グレイドン的な軽快なサウンド。トム・キャニングのキーボードも気持ちよく、印象的なオープニングとなっています。

また、ジェイ・グレイドンの旧友でもあるデヴィッド・フォスターのピアノがきれいな必殺バラード、 “Our Love” はまさに涙もの。アル・ジャロウのバラードで見せる歌唱力には本当に素晴らしいものがあります。ヒット曲 “Breakin’ Away” でのジェイ・グレイドンの3連のリズムギター、ジェリー・ヘイのホーンセクション、そしてアル・ジャロウのロマンティックなヴォーカルもなかなか良い出来です。

カバー曲は、カントリー畑のソングライター、ロジャー・ムラーとキース・ステガルのコンビによる “We’re In This Love Together”、変則リズムのジャズで有名なデイヴ・ブルーベックの曲にアル・ジャロウが歌詞をつけた “(Round, Round, Round) Blue Rondo A La Turk”、ジャズのスタンダード曲 “Teach Me Tonight”の3曲。これらも完成度が非常に高いです。

“We’re In This Love Together” はシングルカットされ大ヒットとなった曲ですが、とてもカントリー系のソングライターが作った曲とは思えない程見事なアメリカン・ポップサウンドに仕上がっています。ここでもジェイのギターが心地よい。
“(Round, Round, Round) Blue Rondo A La Turk” は驚異のヴォーカリストたる、アル・ジャロウの独壇場と言った感じ。7拍子、9拍子、5拍子と目まぐるしく変わる変則リズムに、彼のヴォーカルが完璧にからみ、彼ならではのまさに驚異的なヴォーカルが堪能できるのです。

そして最後を飾る “Teach Me Tonight”は、これ以上のものはないと言って良いロマンティックな歌詞、メロディ、ヴォーカルが三位一体となって、これまた大いに泣ける大名曲。ロン・プライスのサックスソロもロマンティックそのもの。

この作品、AORを語る上で絶対に欠かすことができないアルバムでもあり、更にはジャズヴォーカルのベストアルバムの一つとも言える作品となっております。

Tracks:
01: Closer To Your Love
02: My Old Friend
03: We’re In This Love Together
04: Easy
05: Our Love
06: Breakin’ Away
07: Roof Garden
08: (Round, Round, Round) Blue Rondo A La Turk
09: Teach Me Tonight


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