Al Jarreau / High Crime

前作”Jarreau”に続く、1984年発表のアル・ジャロウの作品です。今回もジェイ・グレイドンによるプロデュースではありますが、本作は前作と比べると若干グレイドン色が薄く感じられます。しかし、押さえるところはしっかり押さえている見事なポップヴォーカルアルバムになっております。

シンセドラムをベースにしてロック的なアプローチで聴かせる “Raging Waters”、スティーヴ・キプナーによる、フワフワと浮遊感のある変わったアレンジの “Murphy’s Law” あたりは明らかに新しい雰囲気を感じさせますが、違和感がないのはアル・ジャロウのヴォーカルの表現力の力量によるところが大きいでしょう。
その一方、前作を踏襲しているジェイ・グレイドン系の音の作りは相変わらず素晴らしいです。
ジェリー・ヘイ・ホーンが炸裂する “Imagination” や “High Crime” 、”Sticky Wicket”あたりは、ここ最近のアル・ジャロウの流れの作風ですし、古臭さも感じさせない見事な出来。”High Crime”はかなりハードなロックさを感じるが、ベースとなる音作りはまさにジェイ・グレイドンそのもの。本人によるギターもカッコ良く決まっています。

“Love Speaks Louder Than Words”は、ジェイ・グレイドンがエアプレイ時代相棒であったデヴィッド・フォスターと共に手掛けたこともあるアース・ウィンド&ファイア風の味付けになっているのも興味深いです。

そしてそして、何と言っても彼の表現力が一番良く出ているのが必殺バラード、”After All”。シングルカットされたものの大ヒットには至りませんでしたが、正統派バラードということで涙モノです。アレンジに、美しいキーボードプレイにデヴィッド・フォスターが大活躍しています。

Tracks:
01: Raging Waters
02: Imagination
03: Murphy’s Law
04: Tell Me
05: After All
06: High Crime
07: Let’s Pretend
08: Sticky Wicket
09: Love Speaks Louder Than Words
10: Fallin’


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