ドクター・ジョンによる、ジャズスタンダードばかりを取り上げたアルバムです。1989年の作品。
この雰囲気をもったアルバムは、彼にとって”City Lights” (1978年)、”Tango Palace” (1979年) 以来久し振りです。タイトルから想像がつくかもしれませんが、彼らしいニューオリンズR&Bやファンクという趣が全くない、典型的なジャズスタンダード集ということができます。プロデュースはおなじみトミー・リピューマ。
本作品のハイライトと言えば、冒頭の “Makin’ Whoopee!” 。この曲はリッキー・リー・ジョーンズとのデュエット作品です。
私が初めて本作品を聴いたのは、当時高崎にあったロック喫茶「ホームタウン」でして、お店のマスターがLP盤のA面に針を落とした瞬間に流れたドラムスとホーンセクションによるイントロ、その後に始まる2人の息のぴったり合ったムーディーなヴォーカルに背筋がぞくっとしたものだ。そして、このアルバム買わなきゃ!となりました。
この作品で確か2人はグラミー賞を取ったと記憶しています。
他にも、しっとりとしたヴォーカルとピアノソロを聴かせるバラード “Candy” “My Buddy” をはじめ、独特の「ころがるような」ピアノソロを聴かせてくれるタイトル曲 “In A Sentimental Mood”(もちろんあのデューク・エリントンの曲)、コール・ポーター作 “Love for Sale” などなど、お見事と言う他ありません。ドクター・ジョンにしか表現できない、あの枯れたヴォーカルと美しいピアノプレイが40分間にわたって、全く飽きる事なく堪能できます。ドクター・ジョン好きにも、おしゃれなジャズヴォーカル好きにも、ポピュラー音楽好きにも薦められる名作です。
なお、参加しているアーティストは、ハーヴェイ・メイソン、ジェフ・ポーカロ(ドラムス)、マーカス・ミラー(ベース)、ヒュー・マクラッケン(ギター)など。ストリングとホーンアレンジメントにはマーティ・ペイチと、超豪華です。
Tracks:
01: Makin’ Whoopee!
02: Candy
03: Ac-Cent-Tchu-Ate The Positive
04: My Buddy
05: In A Sentimental Mood
06: Black Night
07: Don’t Let The Sun Catch You Cryin’
08: Love For Sale
09: More Than You Know
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