ジェラルド・アルストンのソロ2作目作品（1990年リリース）。
前作のセルフタイトルアルバムは、さすがマンハッタンズのリードヴォーカリストと思わせる見事なバラード曲が粒ぞろいの名作でした。

今回も冒頭は前作の流れとも言えるバラード曲 “Slow Motion”。ここで彼が見せる表現力には本当に感心します。文句無しのベストトラック。この濃厚な雰囲気は、スタン・シェパードとジミー・ヴァーナーのプロデュースに依るところが大きいのでしょう。

この後も、やはりバラード中心の曲が続きますが、中盤から少し雰囲気が変わるのが分かります。”I’ll Go Crazy” 以降の曲は一部レヴィ・シーサー・ジュニアのプロデュース曲を除いては、ライオネル・リッチーのソロ作品のプロデュースでも知られるジェームス・アントニー・カーマイケルによるプロデュースになっています。彼のプロデュースは、同じバラード曲でもかなりサラっとしたアプローチで、前作の濃厚さが非常に気に入った人にとっては少し物足りなくなるかも知れません。しかしヴォーカルのうまさ、表現力の豊かさで単なるライトなブラコン・バラードにはなっていません。

最後の “Any Day Now”は、1960年代のバート・バカラックの名曲。1982年にカントリー歌手のロニー・ミルサップにより全米14位まで上がるヒットとなった曲です。作品全体の流れからすると、ちょっとバランスが合わない気がしますが、ヘビーな雰囲気でアルバムを終わらせたくないという意図だったのかも知れません。

Tracks:
01: Slow Motion
02: Getting Back Into Love
03: Don’t You Know How I Feel
04: I’ll Go Crazy
05: Never Give Up
06: Tell Me This Night Won’t End
07: Open Invitation
08: Still In Love
09: Any Day Now