2008年発表のカバー集です。
ジェームス・テイラーは、意外とカバーソングをアルバムに収録しているのですが、今回は全て新録。R&Bとカントリー系のカバーが多く占められた作品集となっています。
冒頭を飾る “It’s Growing” は、1965年のテンプテーションズのヒット曲。ご存知R&Bヴォーカルグループのテンプスの曲も、彼にかかると完全なジェームス・テイラー節になります。何も考えずに聴いていたら絶対にカバー曲であることは気付かなかったと思います。”I’m a Roadrunner” はジュニア・ウォーカーの1966年作品。
“Wichita Lineman” は、グレン・キャンベルの名作で、私も20年来愛聴している1968年の大ヒット。”Why Baby Why” は、日本ではほとんど知られていませんが、カントリー界の「ボス」の様な存在であるジョージ・ジョーンズの1955年作品。
…と曲は続いて行きますが、収録曲の中で特筆すべきはレナード・コーエン作品の “Suzanne” でしょうか。これは本作の中では異色の選曲と言えるのですが、ぴしっとJ.T.節を決めております。途中で流れるセロの音色は、あのヨー・ヨー・マによるソロです。心して聴かねば。
後半はどちらかと言うと有名曲が並ぶ。プレスリーの “Hound Dog” とか、エディ・コクランの “Summertime Blues” とか、ドリフターズやジョージ・ベンソンで知られる”George Benson) の “On Broadway” など。この辺は、しっとりしたJ.T.節というよりは、かなりアメリカン・ルーツ・ミュージック的な展開になっていて、この類が好きな方にも十分に楽しめる作品となっております。
本作は、カバーアルバムには常について回るポイントである選曲の妙、JT節の充実度と良い、非常に満足できる作品となっています。
ただし冒頭にも書いたように、R&Bとカントリーが中心になっているので、一般的なロックファンにはオリジナルアルバムのような気持ちで聴けるのではないだろうかと思います。それもいいですよね。
Tracks:
01: It’s Growing
02: (I’m A) Road Runner
03: Wichita Lineman
04: Why Baby Why
05: Some Days You Gotta Dance
06: Seminole Wind
07: Suzanne
08: Hound Dog
09: Sadie
10: On Broadway
11: Summertime Blues
12: Not Fade Away
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