イーグルスのギタリストとしてもおなじみのジョー・ウォルシュが1991年に発表した作品です。
彼は、日本においてはマイナーなイーグルスメンバーと言わざるを得ません。人気者のドン・ヘンリーやグレン・フライの陰に隠れている感じもありますが、それは彼がイーグルスのオリジナルメンバーではないからかも知れません。しかし、本国アメリカでは、ライブなどでの歓声を聞くと、他のメンバーに決してひけを取らない人気者なんです。
そんな彼が、この作品においては旧友ジョー・ヴィターレを共同プロデューサーに迎え、非常にいきいきしたギターを披露してくれています。
ソロアルバムでの彼らしいハードな一面は、冒頭の “Two Sides To Every Story” での歪みまくったハーモニカのイントロと、それに続く抜けのいいドラムスを聴くだけで、もう堪能できます。もちろん彼のハードなギターやヴォーカルもしっかり披露してくれます。
同様に、ひたすら略語が登場してくるだけのユーモラス(かつ一部政治的)な”Alphabetical Order”、イーグルスのコンサートでも演奏されることもあるレゲエ調のタイトルトラック “Ordinary Average Guy” あたりは、まさにロッカーたるジョー・ウォルシュの強い存在感が出ています。
彼のもう一つの魅力は、たまに見せるロマンティックなソングライターの一面。イーグルスでも、アルバム “Hotel California” に収録された超名曲 “Pretty Maids All In A Row” は彼の作品。どうしてあんなにアクの強いロックンローラーがこんな美しい曲を書けるのか分からないのですが、この雰囲気を持った作品は、本作においては “All Of A Sudden” でしょう。前述の “Pretty Maids All In A Row” のようなスローな曲調ではなくミドルテンポの曲なのですが、お得意のメジャー7thを効果的に使ったコード進行やギターソロのフレーズに所々ドキッとさせてくれるようなところがあります。
本作は、彼の持つ二面性の両方が楽しめるアルバムです。バラエティに富んでいる分、アルバムとしてのまとまりに欠けるという人がいると思いますが、私はこういうごった煮のような作品が好き。
本作のビルボードチャートでの最高位は112位と、ビッグ・グループのギタリストにしては寂しい結果になっていますが、こんなところもジョーらしいなと思ったりします。
Tracks:
01: Two Sides To Every Story
02: Ordinary Average Guy
03: The Gamma Goochee
04: All Of A Sudden
05: Alphabetical Order
06: Look At Us Now
07: I’m Actin’ Different
08: Up All Night
09: You Might Need Somebody
10: Where I Grew Up (Prelude To School Days)
11: School Days
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