Linda Ronstadt & The Nelson Riddle Orchestra / What’s New

ウエストコーストの歌姫と言えるリンダ・ロンシュタットが、初めてネルソン・リドル・オーケストラとがっぷり四つに組んだ1983年発表のスタンダードアルバムです。

このアルバムが発売された当初は確かに話題になったのですが、当時高校生であった私は、彼女の前作であったポップアルバム “Get Closer” が思うようなセールスを上げられなかったため、第二のバーブラ・ストライザンドを狙っただけでは?という程度にしか考えていませんでした。
確かにヴォーカルはうまいし、艶もあるので良い出来だなとは思ったのですが、皆が知っているスタンダード曲だけ歌うシンガーになってしまい、いつの間にかポップシーンから消えて行ってしまうのではないかと正直危惧していました。それに高校生でバンドをやっていた私としては、やっぱりもっと若者向けの曲を聴くのが当然ですよね?

というわけで、当時はあまり良い印象を持たない作品でした。

そして大人になって、改めてこのアルバムを聴いてみると、これが大きな間違いであることに気付いたのでした。昔から気付いてはいたことではありますが、彼女のヴォーカルのうまさが光る1枚なのです。そして何と言っても中高生が理解するには早過ぎる、艶っぽさというのを強く感じるのです。
今までスタンダード曲はいろいろなポップアーティストによって取り上げられてきていますが、彼女のヴァージョンのものが一番素晴らしいと感じました。彼女の抑揚のある表現力と、そこから生まれる大人の香りは、なかなか彼女のポップアルバムでは体験できませんでしたから。

この作品が彼女の新境地を開くきっかけになり、その後数枚のスタンダード物を発表していずれも大好評だったのが、今更ながらうなずけます。やっぱり私も年をとったからでしょうか。
街が寝静まった夜中にしっとりと聴き続けて行きたい、そんなアルバムです。

Tracks:
01: What’s New?
02: I’ve Got A Crush On You
03: Guess I’ll Hang My Tears Out To Dry
04: Crazy He Calls Me
05: Someone To Watch Over Me
06: I Don’t Stand A Ghost Of A Chance With You
07: What’ll I Do?
08: Lover Man (Oh Where Can You Be?)
09: Good-Bye


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

About Me

音楽愛好家 兼 会社員

詳細は こちら へ。

Featured Posts