Marcus Miller / Tutu Revisited

2011年に発表されたマーカス・ミラーのライブアルバム。
タイトルのTutuは、言うまでもなくマイルス・デイヴィスが1986年に発表した晩年の作品から来ていて、マーカス自身もプロデュースを始め、本作品に全面的に参加していました。

さて本作、2011年にフランスのリオンでの録音で、収録されている曲はマイルスのTutuに収録されているものを中心として、2枚組12曲、137分という長尺となっています。
そんなことから、マイルスへのトリビュートアルバムと言うことになっているようなのですが、中身はそうではなく、完全な「マーカス・ミラーのライブアルバム」です。マイルスのトリビュートと思って聴く方は、拍子抜けすると思います。

ミュージシャンは、マーカス・ミラー (bass)を中心としてクリスチャン・スコット (trumpet)、ロナルド・ブルナー・ジュニア (drums)、フェデリコ・ゴンザレス・ペーニャ (keyboards)、アレックス・ハン (saxophone)という布陣。マーカスがスラッピングしまくりの目立つ演奏をしているのは当然として、他のミュージシャンもかなり高度な演奏を聴かせてくれます。特に”Jean Pierre”でのマーカスのソロ、”Don’t Lose Your Mind”でのロナルド・ブルナー・ジュニアのドラムソロ、そこから”Tutu” へ流れる展開のところなどは圧巻です。

“Tutu”では多くの楽曲を提供しているマーカスですので、演奏スタイルがマーカスそのものであっても何の違和感もありません。それでも彼らのテクニックを始めとして、緊張感のある演奏を十二分に堪能できるエネルギッシュな作品です。2時間以上連続しても聞き通すことができます。
「マイルスらしさがない」と言ってしまうと今ひとつな作品になってしまいますが、マーカスの作品としては素晴らしいと思います。彼の新しいライブアルバムとして聴くべき理由はここにあります。是非是非、先入観を取り払って聴いてみてください。

なお、音楽とは関係ないですが、曲の合間に度々聞かれるマーカスの流暢なフランス語MCにも注目です。(フランス語は全く分からないので、雰囲気的ではありますがめっちゃ流暢です!)

Tracks:
[Disk 1]
01: Tomaas
02: Backyard Ritual
03: Splatch
04: Portia
05: Jean Pierre
06: Aida
07: In A Sentimental Mood
[Disk 2]
01: Hannibal
02: Don’t Lose Your Mind
03: Tutu
04: Full Nelson / Perfect Way
05: Human Nature / So What


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