ソウル・シンガー、マーヴィン・ゲイが、牧師である父親の凶弾に倒れる前に発表された1982年発表のアルバム。つまり彼の生前に発売された最後の作品となります。
全曲が彼による作品、モータウン出身のアーティストとしては異色のマルチプレイヤーぶりを発揮して、多くの楽器及びプログラミングも彼自身が担当しています。
本作が発売された当時は、それまでなかなかアルバムが出せず苦悩の日々を送っていたマーヴィンの復活作ということで随分話題になりました。また、ファーストシングルである “Sexual Healing” の直接的なタイトルと歌詞も話題になり、この曲は全米ヒットチャートでも上位にランクされました。
“Sexual Healing” に限らず、このアルバムに収録された8曲すべてがラブソングで、しかも直接的にセックスを表現しているものが目立ちます。その中でも “Turn On Some Music” は、レコード(LP)を演奏しながらの情事をあらわに歌ったもので、あまり年少者にお勧めできない、という内容でもあります。
また、本作で唯一のトロトロ・バラードである “‘Til Tomorrow” は、彼のセクシー・ヴォーカルが堪能できる秀作。彼のフォルセットのセクシーさは、右に出るものがいないなあとつくづく感じます。ボビー・スターンによるアルトサックス・ソロもロマンティックです。
ラストを飾る “My Love Is Waiting” は、イントロでマーヴィンが神に感謝して始まる明るいラブソング。今考えればこんな曲でラストを飾られていると言うのは、その後の事件を考えると辛くなってしまいますね。
このアルバムの後に、生前彼が録音していたと言うアルバムが数枚発表されましたが、このアルバムこそが「遺作」であり、今でもこの作品を聴くと、4月1日の新聞に載っていた彼の銃殺記事を見てショックを受けたことを思い出します。
享年44歳。本当に若くして亡くなったマーヴィン。彼が生きていたらソウル・ミュージックはどうなっていたでしょうね…。
Tracks:
01: Midnight Lady
02: Sexual Healing
03: Rockin’ After Midnight
04: ‘Til Tomorrow
05: Turn On Some Music
06: Third World Girl
07: Joy
08: My Love Is Waiting
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