1980年10月にリリースされたマール・ハガードのスタジオ作としては31作目のアルバムです。
1969年に “Okie From Muskogee” がヒットして全国的に有名になった彼は、カントリーフォーマット中心とは言え、それ以降もコンスタントに活躍を続けていて、この頃はベテランの域に入ってきた頃です。アウトローな雰囲気がウィリー・ネルソンやウェイロン・ジェニングスと近い部分ではあると思いますが、この2人と違って西海岸出身という点があるのか、音楽性には微妙な違いを感じます。
さて本作品ですが、アルバムタイトルから見ても分かる通り「酒」にまつわる曲が多いですね。酒は、マール・ハガードとは切っても切れない関係と言っても良いテーマだと思います。
クリント・イーストウッド主演の映画「ブロンコ・ビリー」で流れていたバラード “Misery And Gin”、アルバムタイトルにもなっている “Back To The Barrooms Again”、そして “I Think I’ll Just Stay Here And Drink” あたりが「酒」をテーマにしていて、どれもいい曲になっています。
収録されている曲では、私は全曲大好き。その中で特に好きなのは、アルバムの最後の2曲、”Leonard” と “I Think I’ll Just Stay Here And Drink”でしょうか。”Leonard” は、カントリー界で多くのヒット曲を作ったソングライター、トミー・コリンズのことを歌った曲。”I Think I’ll Just Stay Here And Drink” は、マール・ハガードのライブでは良く行われていた、曲後半でバンドメンバーそれぞれのソロを聞かせる場面が後半にあり、これが実にカッコいいです。
今の時代に通じるサウンドか、というとそうではないとは思いますが、カントリーがアメリカの音楽シーンでとても元気だった頃の勢いを感じさせる作品だと思います。
最後に余談ですが、”I Think I’ll Just Stay Here And Drink” は、1980年代から活躍しているLAメタルバンド、Warrant が2017年発表のアルバム “Louder Harder Faster” の中でカバーしています。カントリーのヒット曲をメタルバンドがやるとどうなるか、興味深い方もいらっしゃるかもしれませんが、それほど違和感はないです。カントリーはロックンロールの原型となったジャンルの音楽であることを改めて認識できます。
Tracks:
01: Misery And Gin
02: Back To The Barrooms Again
03: Make-Up And Faded Blue Jeans
04: Ever-Changing Woman
05: Easy Come, Easy Go
06: I Don’t Want To Sober Up Tonight
07: Can’t Break The Habit
08: Our Paths May Never Cross
09: (I Don’t Have) Anymore Love Songs
10: Leonard
11: I Think I’ll Just Stay Here And Drink
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