マイケル・ブーブレの2007年発表作品です。
出張のため1週間ほど日本に来ていたアメリカ人のお客さんと、ある晩食事をしていた時ふと音楽の話になりまして。その詳しい内容はここでは省略しますけど、いわゆるジャズ系のヴォーカリストの話、それも昔のフランク・シナトラの話なんかをしたんです。
その翌日、ウチの会社の打ち合わせ室に持ってきてくれたのが、このアルバム。この日の打ち合わせはアメリカとの電話会議だったのですが、そのお客さん自身は専門外の内容。そのため、会議中に「良かったら聴いていいよ」と言われ渡されたのがこのアルバムでした。
マイケル・ブーブレは、ここ最近評判のヴォーカリストですが、アルバムジャケットを見ても甘いマスクの彼がドンと写っているもので、アイドル系のヴォーカリスト?あるいはハリー・コニック・ジュニアみたいな人?という印象でしかなかったのです。実はマイケル・ブーブレ未体験だったのです。
先入観としては正直前のめりではなかったんですが、お客さんからのお薦めということもあり、聴いてみることにしました。
しかし聴いてみると(仕事後に聴きました)、全体的にジャズヴォーカルを中心にしながらも、ポップなアプローチが間に挟まれたりして、とてもバラエティに富んだ内容だなということが分かってきました。シナトラで知られるアルバムタイトル曲はかなり忠実に歌いこなしていますし、”Me & Mrs. Jones” における、男らしい艶っぽさもお見事。それ以外にも、彼が得意とするラテン系の “It Had Better Be Tonight (Meglio Stasera)” でのノリが素晴らしい。多分彼はラテンナンバーが好きなのだな、という気持ちが伝わってきます。
一方、ポップな “Lost” や “Everything”、特に “Everything” はアコースティックなポップソングで、アルバム全体の中ではちょっと異色なナンバーと言えます。
そしてプレスリーやウィリー・ネルソンで有名な “Always On My Mind”。ここでの美しいストリングとピアノにリラックスした彼のヴォーカルはいいですねえ。この辺はプロデューサーであるデヴィッド・フォスターの面目躍如と言ったところでしょうかね。
ちょっと残念だなあと思ったのが、他のアーティストをフィーチャーした2曲。イヴァン・リンスをフィーチャーした “Wonderful Tonight”。イヴァン・リンスとの競演ならもう少し別の曲が良かったかなーと、素直に思ったのです。実はこのアルバムでのボサノバ的なアプローチは好きなんですが、個人的にこの曲がそれほど好きではないので…。
ボーイズ・II・メンも、それ単体では好きなのだが、ちょっとクセのあるマイケル・ブーブレのヴォーカルとの競演はちょっと合わなかったかもなーというのが正直な感想です。
それ以外は十分楽しめるエンターテイナーのアルバムですね。これは褒め言葉です、素直に。
Tracks:
01: The Best Is Yet To Come
02: It Had Better Be Tonight (Meglio Stasera)
03: Me And Mrs. Jones
04: I’m Your Man
05: Comin’ Home Baby (featuring Boyz II Men)
06: Lost
07: Call Me Irresponsible
08: Wonderful Tonight (featuring Ivan Lins)
09: Everything
10: I’ve Got The World On A String
11: Always On My Mind
12: That’s Life
13: Dream
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