マイルス・デイヴィスをリアルタイムのアルバムとして聴いた初めての作品 (1986年リリース)。当時既にマイルスは神格化されたような存在で、今度はどんなアルバムをリリースするのだろうと皆が期待していたものでした。
新作 “Tutu”。本作の1曲目の “Tutu” を聴いて、「うわ、かっこいい!!」と大感激しました。ゆったりした今風のイントロが続き、いつマイルスが出てくるんだ!としばらくじらされた後。静かにマイルスのミュートを聴かしたトランペットが登場。
これが今のマイルスの音か!すごい存在感。
すごいテクニックを駆使する訳ではないのに、この存在感は何なんだ!と驚きました。あくまでどっしりとした、余裕のプレイ。
この “Tutu” は何回聴いても素晴らしい演奏だと思います。
それ以外に驚いたのは “Perfect Way”。ご存知の向きも多いと思いますが、イギリスのポップ・グループ、スクリッティ・ポリッティの大ヒット曲。オリジナルと比べるとポップ色は薄くなってはいるものの、こんな現代的なポピュラー音楽も柔軟にこなしているマイルスのすごさ、そしてうまさ。良く聴くとオリジナルに結構忠実なのですが、完全にマイルスのナンバーに仕上がっているのです。
あまりに名作の多いマイルスのこと、このアルバムはそんな名作たちの影に埋もれてしまいがちなアルバムかもしれません。しかし、現代音楽とジャズの融合を見事に表現している彼の素晴らしさをつくづく思い知らされました。彼の70年代以降の作品では一番好きな作品かなと思います。
Tracks:
01: Tutu
02: Tomaas
03: Portia
04: Splatch
05: Backyard Ritual
06: Perfect Way
07: Don’t Lose Your Mind
08: Full Nelson
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