2021年1月にリリースされたモーガン・ウォーレンの2作目。なんと2枚組30曲という大作です。
カントリーということで日本ではほとんど注目されていないのですが、本国である米国ではこの原稿作成時点で売れに売れまくっており、このR&Bやヒップホップ全盛期の中ビルボードアルバムチャート初登場第1位、以来10週連続でトップを守り続けました。間違いなく今年のビッグヒット作の1つでしょう。
さて、このニュースも日本では知られていないかも知れませんが、このモーガン・ウォーレン、大ヒットの最中である2月に人種差別的な発言をしたとして大騒ぎになりました。これにより一部のラジオ局は彼の曲のオンエアを止めたり、CMAアワード(カントリーミュージックにおける一番有名な音楽賞)ではこのアルバムをノミネートしないなどの措置が取られました。
これを炎上商法という人もいたようですが、この時点では既に全米1位になっていたので、それは当てはまらないでしょう。但しこの騒ぎがあった後もアルバムは売れ続けていましたから、注目を集めていたことは間違ってはいないと思います。
アルバムの紹介に移るのですが、現在のカントリー・ミュージックの主流と言える、アコースティックギターをメインにしながら、ロックバンドの構成で演奏される、コンテンポラリー・カントリーをベースにはしています。ただ、歌唱法はどちらかというとトラディショナルっぽさを感じますし、”More Surprised Than Me” などでのバンジョーや “Whiskey’d My Way” でのペダル・スティールなんかもトラディショナル感を感じます。その一方、”Warning” や “Wasted On You” での打ち込みなど、昔からのカントリーファンが眉をひそめそうなもの(苦笑)まで、多種にわたります。
また、新型コロナウイルスに伴う行動制限の中、インスタグラムで共有しながら曲を作り上げ、Tik Tokでミュージックビデオが先行公開されて2400万回再生されたという “7 Summers” のような曲もあります。この曲、2020年夏に全米ビルボード誌のポップチャートでも6位まで上がるヒット曲となりまして、昔付き合っていた女性を思い出す歌詞と、ロマンティックなメロディーとビデオがなかなか甘酸っぱくて、いいAOR風なポップソングになっています。
とまあ、とにかくバラエティに富んだ内容となっていて、30曲も飽きさせません。
最近のカントリー・ミュージックシーンは、ヒップホップや打ち込み系ポップが全盛の中で、アメリカンロック、ポップ、カントリーをきれいに練り上げた作品が多く、結構健闘しているのでは?と思います。その割に日本ではほとんど紹介されないという、昔からの「歯がゆさ」を感じたりもします。言葉を変えれば、従来からのアメリカンロックやポップ、最近新しい曲に出会えないなあと思う方は、きっとカントリーのジャンルを見ていくといい曲に出会えるかもしれません。
是非このアルバム紹介を見ていただいて、いろいろと聴いてほしいなあと思います。
最後はアルバム紹介の内容ではなくなってしまいましたが、今のカントリー・ミュージックはこれ!という作品になっていますので、興味のある方は満足すると思いますよ。
Tracks:
[Disc 1]
01: San In My Boots
02: Wasted On You
03: Somebody’s Problem
04: More Surprised Than Me
05: 865
06: Warning
07: Neon Eyes
08: Outlaws (featuring Ben Burgess)
09: Whiskey’s My Way
10: Wonderin’ Bout The Wind
11: Your Bartender
12: Only Thing That’s Gone (featuring Chris Stapleton)
13: Cover Me Up
14: 7 Summers
15: More Than My Hometown
[Disc 2]
01: Still Goin Down
02: Rednecks, Red Letters, Red Dirt
03: Dangerous
04: Beer Don’t
05: Blame It On Me
06: Somethin’ Country
07: This Bar
08: Country A$$ Shit
09: Whatcha Think Of Country Now
10: Me On Whiskey
11: Need A Boat
12: Silverado For Sale
13: Heartless (Wallen Album Mix)
14: Livin’ The Dream
15: Quittin’ Time
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