2013年7月にリリースされた、Negiccoの初のフル・オリジナルアルバム。T-Palette Recordからの第1弾です。
私はシングル「光のシュプール」からNegiccoを聴き始めたので、1作品前の彼女たちはどうだったのかな、という視点で本作を聴き始めたのですが、やっぱり聴いてよかったと思える名作。90年代の「渋谷系」的な雰囲気をしっかり継承しているなあという印象です。
私のような50近いオッサンの心にもしっかり届く音作り。歌もしっかりしてますし、曲が耳に馴染んできます。プロデューサーのconnieさんはただ者ではないです。
アイドルである彼女自身が、いかにもピチカートっぽい曲に乗せ、「アイドルと握手をしたってデートはできない」「どんなにお金を積んでもキッスとか出来ない」「結婚も出来ない」と断言した挙句、「ざんねーん!」と言い切ってしまう「アイドルばかり聴かないで」が本アルバムの代表作でしょうね。シングルを何枚も買って握手券を手に入れてってことを本人たちもやっているのにも関わらず、「ざんねーん!」って一言なのです。痛快痛快。ちなみにこの曲は小西康陽の作品ですから、当然ピチカートっぽい曲なわけです。
「アイドルばかり聴かないで」が代表曲とはいえ、本作はとっても良質なアイドルポップがてんこ盛りで、この隙のなさには驚くばかり。参加しているミュージシャンたちも超豪華。西寺郷太、小西康陽、tofubeats、ユメトコスメの長谷泰宏、サイプレス上野とロベルト吉野などなど。バラエティの富んだ作品をきっちりと歌いこなしています。
(ちなみにジャケットはジェーン・スーがプロデュースしております)
そして私個人的にベストトラックと思っているのが、「ルートセヴンの記憶」と「ネガティブ・ガールズ!」なのです。
「ルートセヴンの記憶」は、イントロのエレピを聞いた瞬間に「おー!」と口に出してしまった作品。これは明らかに「中央フリーウェイ」へのオマージュだなと。眼をつぶって見える光景が中央フリーウェイそのものなんです。「もう直ぐ右に見えるわ競馬場 左はアイス工場」なんて歌詞が出てくる。この光景は、もちろんルートセヴン=新潟市内を走る国道7号線に乗り、新潟競馬場付近を走り抜いているんである。「少しだけ窓を開けて風を入れたら」「大好きと小さな声わざと言うから/聞き返すあなたにイジワルした」なんてフレーズもあの曲っぽくてアラフィフ世代にはぐっとくるフレーズなんですよね。
「ネガティブ・ガールズ!」はうって変わってアップテンポの元気な曲なのだが、これは彼女たちが自分自身を元気づけるような歌なんだなと思うと、どうしても聴きこんでしまう曲。「今はまだ弱いけど/きっといつかはポジティブ・ガールズ!」なんていう歌詞を聴いてしまうと、こんなおじさんでも勇気付けられるもんです。元気が出ない朝の通勤ミュージックですから。
ちょっと長くなってしまいましたけど、本作も「Rice & Snow」と同じくらいの名作だった、ということは間違いありません。多分何年も聴き続けることができる作品でしょう。アイドルの作品だけど、この時からもうアイドルを超えた、ちょっと違う存在の人たちだったんです。
Tracks:
01: 愛のタワー・オブ・ラブ
02: あなたとPop With You!
03: アイドルばかり聴かないで
04: イミシン☆かもだけど
05: 相思相愛
06: 恋のEXPRESS TRAIN
07: GET IT ON!
08: ナターシア
09: ルートセヴンの記憶
10: ネガティブ・ガールズ!
11: Negiccoから君へ
12: スウィート・ソウル・ネギィー (grooveman’s Jack Bounce Mix)
13: ニュートリノ・ラヴ (banvox remix)
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