人気ジャズ・ギタリスト、パット・メセニーの1986年作品です。
この頃はバブルが始まった頃、ということが関係していたからだと思いますが、世界中のあらゆる音楽が日本に紹介されて、音楽好きにとってはたまらない時代でした。かく言う私も、アジア、中東、アフリカ、南米の音楽を好んで聴いておりました。「ワールドミュージック」と言う概念が出てきたのもこの頃だったと思います。
そんな中、ブラジルのポップミュージックにも触れる機会があり、このパット・メセニーの作品もその影響を受けた作品と言うことで好んで聴いたものです。
パット・メセニーの名前は以前から聞いていたものの、本作が私にとって初めてのパット体験でした。第一印象、1曲目の “Minuano” を聴いた感想は「これ、環境音楽?」。ジャズギタリストの作品と思っていた私は、ラリー・カールトンやリー・リトナーとはずいぶん雰囲気の違う、草原を颯爽と駆けるような爽快感に少々の違和感さえ覚えましたが、作品自体はいつまでも聴いていたくなる、とても心地良いものでした。パットのギターは決して出しゃばることはありませんが、実は陰でかなりのハイテクニックを駆使したプレイを聴かせてくれています。ということでこの曲が私にとってベストトラックなのです。
それ以外には、今にもイヴァン・リンスが歌い始めそうな “(It’s Just) Talk”、「こういう疾走感がいいんだ!」と第一印象で心躍った “Third World”あたりが好きな曲です。
パットは、当時もてはやされた、いわゆるフュージョン系アーティストの一人と言っていいのですが、彼の場合は若干アプローチが異なっていたためか、他のギタリストと比べてマイナーな感は否めません。しかしながら本作は目の前に浮かぶ情景や独特のリズムなど、聴き飽きない内容になっていて、発売後25年以上経った今でも愛聴盤の一つです。
参加ミュージシャンは、パット・メセニー (guitars)、ライル・メイズ (piano)、スティーヴ・ロドビー (bass)、ポール・ウォーティコ (drums)、アーマンド・マーサル (percussion, vocals)、マーク・レッドフォード (vocals)、デヴィッド・ブラミレス (vocals)という面々
本作品はビルボードのジャズチャートで第1位を記録し、グラミー賞も受賞しています。
Tracks:
01: Minuano (Six Eight)
02: So May It Secretly Begin
03: Last Train Home
04: (It’s Just) Talk
05: Third Wind
06: Distance
07: In Her Family
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