ポール・マッカートニーの1982年作品。
前作”McCartney II”の発表の後、ジョン・レノンの死という大事件を経て約2年後に世に出た作品ということになります。
(あと、この間にはポールが日本で逮捕、なんてこともありましたな)
そんなこともあり、ポールの新作はジョンに対する追悼作品なのかな、と当初思ったんです。しかし実際には、本作のラストナンバーでもあるスティーヴィー・ワンダーとの「世紀のデュエット」とも言われた “Ebony and Ivory” が物凄い話題となったのでありました。
先行してこの曲がリリースされた当時、私の中では、ジョンとポールの確執?なんてことが頭をよぎったものだ。なお、本作では “What’s That You’re Doing?”という曲でもスティーヴィーと共演しています。
さて本作の中身なのですが、これが珠玉のポップ集なんであります。特に1曲目のタイトルチューンに続きフェードイン気味に始まる “Take It Away” は絶品。歌詞も教科書のように分かりやすい韻を踏んでいますし、ポールの優しい歌声と分厚いバックコーラス(リンダの声ももちろんしっかり聴こえます)、爽快なホーンセクション…。ポップとはこういうものなんだよ、とポールに言われている気になってしまう素晴らしさなのです。
これ以外にも歌い上げ系・しっとり系のいかにもポールらしい “Wanderlust” や “Somebody Who Care” のような曲ももちろん収録されております。その上 “Ebony and Ivory” も収録されているわけですから、もう文句のつけようがない名作なんであります。当然のことながら、私にとってのポールのフェイバリット・アルバムであることは言うまでもありません。
で、最後にあの曲のことを。あの曲とは “Here Today” です。どうやらこの曲が亡きジョンに捧げた曲、とのこと。本作の中では群を抜いて物悲しさに包まれたこの曲は、ジョージ・マーチンのストリングス・アレンジメントといい、どこかしら “Yesterday” を彷彿とさせる雰囲気となっています。
Tracks:
01: Tug Of War
02: Take It Away
03: Somebody Who Cares
04: What’s That You’re Doing
05: Here Today
06: Ballroom Dancing
07: The Pound Is Sinking
08: Wanderlust
09: Get It
10: Be What You See
11: Dress Me Up As A Robber
12: Ebony And Ivory
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