リッキー・リー・ジョーンズの1991年作品です。
全曲がカバー曲であり、シンガーソングライターである彼女としては異色のアルバムと言えます。多くがジャズのスタンダードで占められていて、もともとジャジーな雰囲気を持った彼女としては、必然的な選択となるでしょう。そしてこれがやはり見事にハマっているのだ。プロデュースはリッキー・リー・ジョーンズとドン・ウォズ。
バックミュージシャンのルベン・フォード (アコースティックギター)の実に素晴らしい演奏が印象的。本作品は、ドラムスを使わずルベン・フォードのギターとベース、バンドネオンだけをバックに歌い上げる “My One And Only Love” で幕を開けるが、これがもう本当にリッキー・リー・ジョーンズが演るとハマるんですよね。
スティーヴ・キンドラーのヴァイオリンをフィーチャーした “Second Time Around”や、”Hi-Lili Hi-Lo”も同系統の曲としては素晴らしいカバーになっています。
本アルバムの中で異色なのは、ジミ・ヘンドリックス作の “Up From The Skies”でしょうか。当然のことながらオリジナルに忠実なわけもなく、ルベン・フォードのブルージーなギターがここでも大活躍。原曲からかなりかけ離れた雰囲気になったのは当然ですが、完全なリッキー節となっております。
本作を初めて聞いた20年近く前は、今までの彼女のアルバムの中では一番ヴォーカルが弱いなあと感じました。それゆえ余り好きなアルバムとは言えませんでした。彼女のヴォーカルが大好きだったからこういう感想だったのですが、今改めて聞いてみると、彼女のヴォーカルの良さもさることながら、バックミュージシャンの演奏が素晴らし過ぎます。スタンダード曲もジミヘンも彼女のヴォーカルと素晴らしい演奏で、本作でしか表現できない唯一無二なものになっています。このオリジナリティは素晴らしいです!
そう言う意味では「今更気付いた名盤」と言ってもいいと思います。これからは間違いなく聴き続けていきます。
Tracks:
01: My One And Only Love
02: Spring Can Really Hang You Up The Most
03: Hi-Lili, Hi-Lo
04: Up From The Skies
05: The Second Time Around
06: Dat Dere
07: I’ll Be Seeing You
08: Bye Bye Blackbird
09: The Ballad Of The Sad Young Men
10: I Won’t Grow Up
11: Love Junkyard
12: Comin’ Back To Me
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