1985年にリリースされたトッド・ラングレンの作品です。
アカペラと言う言葉を聞いてジャズっぽい、ベースからアルトまでの4人組くらいのヴォーカルグループが歌う黒人風の音楽を連想する人かもしれませんが、この作品はアカペラと言う概念を奇才・トッドなりに解釈し、料理した作品です。
このアルバムでは、ヴォーカルだけでなくすべての楽器まで自らの声で演じているのです。
良く聞くと、ドラムやベース、ギターの音もすべてトッド自身の声をコンピュータ処理し、あたかも本当の楽器のような音にしており、今までの「アカペラ」の概念を覆す斬新なものです。冒頭の “Blue Orpheus” での見事な調和、そしてアヴァンギャルドさはこのアルバムの聴きどころといえるでしょう。
最初に聞いた時はちょっと難解なアルバムだなと感じたのですが、実は彼らしい、見事なまでのポップさは”Something To Fall Back On”、ドゥ・ワップ風の典型的なアカペラ”Hodja”あたりで聴くことができます。
作品は優秀なソングライターでもある彼自身のペンによるものが10曲中9曲。あとの1曲”Mighty Love”はスピナーズのカバーです。
長年在籍していたBearsvilleレーベルから離れてWarner Brosに移籍して初のアルバムだったと思いますが、その割にはかなり実験的なことをやっているなというのが本作に対する第一印象でした。というよりは、Bearsvilleが実験的な作品を好まなかったのかもしれません。
しかし聴き込んで行くと彼の持っているポップさもいかんなく発揮されていて、今では私にとってかなり好きなアルバムの1枚となっております。
Tracks:
01: Blue Orpheus
02: Johnee Jingo
03: Pretending To Care
04: Hodja
05: Lost Horizon
06: Something To Fall Back On
07: Miracle In The Bazaar
08: Lockjaw
09: Honest Work
10: Mighty Love
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