2009年にリリースされたライブアルバムです。
アメリカにおけるトム・ウェイツの人気は、日本では想像ができないほど根強いです。本作の一番始めに聴かれる、割れんばかりの歓声からの観客のノリはかなり熱狂的でもあります。音の感じからすると、大きな会場での収録に聴こえますね。ライブハウスではなく、演奏や歓声の響き具合からすると、それなりの規模のコンサートホールだと思われます。
誰でも知っている曲があまりないトム・ウェイツですが、決して誰にも真似できない「究極のダミ声」とも言える声、演奏から溢れ出す彼の存在感に圧倒されます。80年代後半くらいから積極的に使い始めた、空き缶を通して聴こえるような独特のエフェクターをアルバム全体で駆使し、唯一無二の世界を表現してくれます。この声はパフォーマンスによっては拡声器を改造したものを使ったりしているようですが、本作でどうしているかは、聞いた感じではよく分からないです。
特に冒頭の “Lucinda” ~ “Ain’t Goin’ Down”と、最後を飾る “Lucky Day” が、リスナーを引き込むような演奏とヴォーカルで素晴らしく、トム・ウェイツの世界・存在感が堪能できます。
ところで本作品は17曲入り73分のライヴなのですが、実は本作2枚組なのです。2枚目は “Tom Tales”(和訳すると「トムのお話」)というタイトルで、彼が35分にわたって話し続ける作品となっています。日本人には非常に分かりにくいスラング満載、4レターワードも登場したり、下世話なおしゃべりが延々と続きます。ちょっと猥雑な話に観客も大盛り上がりです。
音だけで想像するに、トムはピアノの前に座り、時折ピアノを鳴らしながら時に観客に向かって話しかけている、そんな感じなのでしょう。この2枚目の方は、曲というよりはトークと言える内容なので、アメリカ人の「ユーモア」に対する考え方の雰囲気をつかんで見るために聞いてみましょう。
Tracks:
[Disk 1]
01: Lucinda – Ain’t Goin’ Down
02: Singapore
03: Get Behind The Mule
04: Fannin Street
05: Dirt In The Ground
06: Such A Scream
07: Live Circus
08: Going Out West
09: Falling Down
10: The Part You Throw Away
11: Trampled Rose
12: Metropolitan Glide
13: I’ll Shoot The Moon
14: Green Grass
15: Make It Rain
16: Story
17: Lucky Day
[Disk 2]
01: Tom Tales
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