1975年に録音され、発表されたトム・ウェイツのライブアルバムです。アルバム全体に彼のライブらしさが漂っていて何とも良い雰囲気です。
例えばこんな感じでライブが始まったのではないかなと想像します。
客の入りは80%程度、ざわざわとした客席の中、ステージではドラムセットが黙々と組み立てられ、マイクが1本中央に据えられる。ピアノの横にもマイクが 1本。しばらく経ってバンドのメンバーが少しずつ集まり、チューニングを開始する。開演時刻が過ぎてトム・ウェイツがノソノソと登場。ちょっとよれたスーツ姿でワイシャツは上のボタンを外し、ネクタイも緩めている。手にはもちろんウイスキーグラスとタバコ。彼がピアノの前に座り、ダミ声で話しながらいつの間にかイントロが流れ、ライブが始まる… 。
私は残念ながら彼のライブを見たことがないのだが、こんな感じで始まっていくのでしょう。
このアルバムでは、冒頭のイントロからライブの雰囲気がビシビシ伝わってきて、未経験者としては、どうしてもライブを見たくなるような、そんな内容になっているのです。
演奏している曲はどれも素晴らしいのですが、このアルバムに収録された11曲は全て新曲です。その中でも、特に “Eggs And Sausage”、”Warm Beer And Cold Women” といった辺りが私の好み。収録されてる全ての曲がジャジーで、渋くて、痛快で、猥雑で、かっこいい。彼のヴォーカルに聴き入ってしまいます。
このアルバムは、彼の発表している多くの名作の中に埋もれがちで、トム・ウェイツファンの間では決して絶大な評価を得ている作品ではないようです。しかし、私のようなトム・ウェイツの雰囲気が好きな人間としては、このアルバムはライブらしく彼の持つ雰囲気が伝わってきますし、もっと評価されても良いのになと思っています。
Tracks:
01: (Opening Intro)
02: Emotional Weather Report
03: (Intro)
04: On A Foggy Night
05: (Intro)
06: Eggs And Sausage (In A Cadillac With Susan Michelson)
07: (Intro)
08: Better Off Without A Wife
09: Nighthawk Postcards (From Easy Street)
10: (Intro)
11: Warm Beer And Cold Women
12: (Intro)
13: Putnam County
14: Spare Parts I (A Nocturnal Emission)
15: Nobody
16: (Intro)
17: Big Joe And Phantom 309
18: Spare Parts II And Closing
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