1988年に発表されたコンピレーション作品です。
タイトルをご覧になってお分かりの通り、アメリカのルーツミュージックの一つであるフォークミュージック、その中でも国宝並みの存在と言えるウッディ・ガスリーとレッドベリーに対するトリビュート・アルバムです。
アメリカの音楽の礎となったとも言えるシンガーたちのトリビュート作品に集まるアーティストは、流石に超豪華です。ボブ・ディラン、U2、ジョン・メレンキャンプ、ブルース・スプリングスティーン、リトル・リチャードなどなど、そうそうたる面々です。
彼らは思い思いにガスリーやレッドベリーの曲を気持ちよく、リラックスしながら自分の曲のように消化しつつ演奏しています。これがトリビュートの良いところでしょうね。この作品では、この「気持ちよさ」「リラックスさ」がすごく前面に出ていて、聞いているこちらも本当にいい気分になれます。
比較的オリジナルに近い、アーロ・ガスリー(ウッディの息子)やウィリー・ネルソンArlo Guthrie (ウディーの息子ですね) やウィリー・ネルソンといったカントリーからのアプローチの人もいれば、U2やブルースのよにロックミュージックからのアプローチの人もいます。リトル・リチャードは、フィッシュボーンとの共演で真性のロックンロールで表現。タジ・マハールはブルージーなルーツ・ミュージック。みんな、めちゃくちゃカッコいい。
そして、本作品で私が一番好きなのは、もはや伝説化しつつあるブライアン・ウィルソンです。一番最初にこの作品に彼が参加することを知った時、彼がアメリカン・フォークソングをどのように演奏するんだろうと興味深かったのですが、いざ聞いてみると、これが完璧にブライアン・ウィルソンの世界なんです。多くのミュージシャンがカバーしている “Goodnight, Irene” を、まさにあのヴォーカルとアレンジメントで演じるのです。この素晴らしさ、ジャンルが色々あるけど音楽って良いなあと思いました。
コンピレーションの最後は、このアルバム発売時点で既にレジェンドとなっていたピート・シーガーとドック・ワトソンの2大フォークシンガーが共演し、名曲 “This Land Is Your Land” で締めてくれます。いやあ素晴らしい。
数あるトリビュート系のコンピレーションの中、殊更アメリカの音楽を取り上げたものの中では最高レベルのアルバムと言えるでしょう。アメリカ音楽を知るためには、このアルバムから入っても良いのではないかと思いますよ。
Tracks:
01: Sylvie (Sweet Honey In the Rock)
02: Pretty Boy Floyd (Bob Dylan)
03: Do Re Mi (John Mellencamp)
04: I Ain’t Got No Home (Bruce Springsteen)
05; Jesus Christ (U2)
06: Rock Island Line (Little Richard with Fishbone)
07: East Texas Red (Arlo Guthrie)
08: Philadelphia Lawyer (Willie Nelson)
09: Hono’s Lullaby (Emmylou Harris)
10: The Bourgeois Blues (Taj Mahal)
11: Gray Horse (Sweet Honey In The Rock)
12: Goodnight Irene (Brian Wilson)
13: Vigilante Man (Bruce Springsteen)
14: This Land Is Your Land (Pete Seeger with Sweet Honey In The Rock, Doc Watson & The Little Red School House Chorus)
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