ウェザー・レポート、1980年発表の2枚組アルバムです。全12曲中前半の8曲はライブ、後半6曲はスタジオ録音という構成になっております。
(発売当時は2枚組LPで収録曲は13曲でしたが、CDで1枚にする際1曲が削除されてしまいました)
正直言うと、このアルバムはウェザー・レポートというより、ジャコ・パストリアスのベースプレイを聴きたくて入手しました。その点からは、堪能できるのがジャコ自身が作曲した “Teen Town”。ベースが、しかも天才ベーシストであるジャコ・パストリアスがリードをとる曲のベースはこんなになるのか!というぶっ飛びベースフレーズの連発、連発。いやいやすごい。
そりゃ天才プレーヤーだから謎でも構わないんだけど、6分もの間コンマ1秒も切らせることなく連続して、あの、どちらかと言えば地味な楽器であるベースギターという楽器で思いっきり目立てるプレイができるのか、本当にすごいですわ。マグマでも噴出するんじゃないかという迫力。ジャコだけでなく、ウェイン・ショーターのソプラノサックスも大活躍。緊張感のある演奏で、このアルバムの中でも最大の盛り上がりとなります。
“Teen Town”以外にも、彼のすごいベースプレイが聴けるのが、”Slang”という曲である。これは曲というよりは彼のベースソロだけをかき集めた感じのある曲。カッコいい…。
それ以外の、ジャコが余り目立たない(笑)曲についても簡単に。
サビヌル系というか、きれいなキーボードプレイが聴ける系の曲が意外と少ないなというのが印象ですね。全般的には、やっぱりウェイン・ショーターのサックスがいいです。冒頭の “Black Market” を始め、バラードの “A Remark You Made” での美しいソロが印象的です。
ちなみに彼のサックスプレイだけをまとめた感じの “Thanks for the Memory” という曲も収められています。ウェイン・ショーターのファンにとってもたまらない作品かもしれません。
この頃、ジャズとジャズ以外のジャンル(主にロックやクラシックなど)が融合したような音楽を「クロスオーバー・ジャズ」とか「フュージョン」などと呼ばれていましたが、このアルバムもそのフュージョンの代表的な作品だと思います。
その後、フュージョンはR&Bやポップなどとの融合により、聴きやすい「スムース・ジャズ」「コンテンポラリー・ジャズ」が主体となり現在に至るのですが、この頃の骨のあるフュージョンも聴き応えがあって良いですね。名盤だと思います。
Tracks:
01: Black Market
02: Teen Town
03: A Remark You Made
04: Slang (Bass Solo)
05: In A Silent Way
06: Birdland
07: Thanks For The Memory (Tenor Sax Solo)
08: Badia / Boogie Woogie Waltz
09: 8:30
10: Brown Street
11: The Orphan
12: Sightseeing
コメントを残す