Willie Clayton / Excellence

2019年に発表されたブルース/ソウルシンガー、ウィリー・クレイトンの作品です。

ウィリー・クレイトンは1955年生まれ。この記事を書いている時点では65歳なので、結構なベテランシンガーです。プロミュージシャンとしての活動は1969年頃のようですが、ヒットには恵まれず初めてのヒット曲は1984年までありませんでした。
注目されたのは(私も彼を知ったのがこの時でした)1987年にWill Clayton名義で ”Forever” と言うアルバムをリリースした頃でした。当時はバブルの影響で、日本にもいろんな音楽が紹介された時期で、彼のようなマイナーではあるが実力のあるシンガー達が雑誌や音楽マニア系の中でちょっとした評判になりました。かく言う私もアルバムを入手。アルバムジャケットと音作りにはお金がかかってないけれど、彼のヴォーカルには圧倒されました。これぞソウル・シンガーという教科書というか、理想に近いテクニック。これほどの実力の人が長い間音楽活動しながらもヒットチャートには決して現れない、アメリカの音楽シーンは奥が深い、と思ったものです。

さて本作品に戻ります。音の感じは7割ソウル、3割ブルースといった感じでしょうか。

前半はサザン・ソウル〜ブルース作品が中心を占めて、”We Belong Together” も “Love Doctor“ も実に余裕のある歌いっぷり。ものすごく好きなオープニングです。エタ・ジェイムズやロッド・スチュワートで有名な ”I’d Rather Go Blind” も素晴らしい。
中盤になってくると “If You Want Me” “Makeup Love”あたりでググッとソウルバラードでたたみ掛けてきます。甘くソウルフルなヴォーカルが十分堪能でき、聴きどころです。
後半に入ってくると、打ち込み中心の1990〜2000年代あたりのヒップホップやレゲエの影響がうっすら見え隠れする曲調に変わってきます。
そして終盤はまたまたソウル・ミュージックの王道のような曲が。スローな “Ain’t No Way”、そして最後は、Gwen McCraeが1975年に放った大ヒット曲 “Rocking Chair”のカバーで締めくくります。

この作品は、ウィリー・クレイトンの様々な魅力を堪能できるのですが、言い方を変えると作品全編を通した柱は細いのかもしれません。とはいえ、個々の曲は「これぞ実力」という雰囲気に満ちてますし、実際に素晴らしいですし、ソウル・ミュージックを聴きたい方には若干曲を選びますがお勧めできる作品だと思います。

80〜90年代のコロンビア〜ワーナー時代のアイズレー・ブラザーズの雰囲気を味わいたい方にも勧められますね。

Tracks:
01: We Belong Together
02: Love Doctor
03: Sidepiece On The Side
04: Can We Slip Away
05: I’d Rather Go Blind
06: Love Games
07: If You Want Me
08: Makeup Love
09: If It Ain’t One Thing
10: Where You Get That Body
11: Drop Pop And Roll
12: Broken Heart
13: Ain’t No Way
14: Rocking Chair


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