1988年発表の山下達郎のアルバムです。
本作は、山下達郎の数多いアルバムの中でも内省的な作品が多いといわれています。
また、本作品当たりからCMやテレビ番組主題歌などとのタイアップ曲が多くアルバムに収録されるようになってきている、というのも特徴的です。「踊ろよ、フィッシュ」「マーマレード・グッドバイ」「The Girl In White」(これは確か、後にこの曲をカバーする黒人のコーラスグループ、14カラットゴールドがCM出演していた)がCM曲、「ゲット・バック・イン・ラブ」はTBSのドラマの主題歌(「海岸物語」)としてヒットしました。
もともと山下達郎の活動としては70年代から多くのCMソングを作り歌ってきているので、彼の活動スタンスとしては変わってきていないのでしょう。とは言え、CMソングを作って採用してもらっていた時期から、自分の作品がCMソングとして起用されるようになったという違いはあるでしょう。
アルバム全体の構成としては、キャッチーなサウンドと重めのサウンドが非常にいいバランスを取っているというのが第一印象です。アルバムの前半はどちらかというと前者、後半は後者、という流れになっています。
後半の重めの展開(具体的には6曲目以降、「ルミネッセンス」〜「蒼氓(そうぼう)」「僕の中の少年」)は、山下達郎の今までの作品にはあまり見られなかった、非常にコンセプチュアルなもので、「夏と言えば山下達郎」のような、1980年代前半当たりのイケイケな雰囲気からの変化を強く感じました。特に「蒼氓(そうぼう)」は、あちこちで名曲との呼び声が非常に高く、ライブにおいても10分くらいの大作になるらしいです。
本作は、それ以降にリリースされた彼の多くの作品のベースとなるようなものだと思っています。そう言う意味では、山下達郎の音楽活動の歴史では絶対に外せない一作であり、名作なのだと言えます。
Tracks:
01: 新・東京ラプソディー
02: ゲット・バック・イン・ラブ
03: The Girl In White
04: 寒い夏
05: 踊ろよ、フィッシュ
06: ルミネッセンス
07: マーマレード・グッドバイ
08: 蒼氓
09: 僕の中の少年
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